研究概要 |
多列検出器時代の低被ばく高画質インテリジェント造影CTシステムの開発の基礎データを収集した. 門脈を用いたBolus Tracking法が門脈相の最適化に有用か検討し,大動脈ΔCT値はA群(Δ70HUの門脈トリガー後6秒)で,門脈ΔCT値はB群(Δ100HUの大動脈トリガー後40秒)で最も高値を示した,肝実質ΔCT値および画質評価はいずれの群でも同等であったが,画像ノイズはA群で最も優れた.門脈を用いたBolus Tracking法による門脈相撮像はノイズ軽減の点で有屠となる可能性があると結論した. 低線量CTでの高ヨード負荷が画質に与える影響を検討した.大動脈,門脈,肝実質CT値はどの相でもC群(Noise Index 15,600mgI/kg,n=65)が他群に比して高値を示した.大動脈,門脈,肝実質SD値はどの相でもA群(Noise Index 12,521mg/kg,n=65)が他群に比して低値を示した.門脈相での画質・ノイズはA群とC群で同等であった.B群(Noise Index 15,521mgI/kg,n=65),C群におけるCTDIvolはA群に比し有意に低値を示した.低線量CTにおける画質劣化は負荷ヨードを増加することで代償され,約30%の出力線量の軽減となると結論した. 膵造影CTにおける解剖学的構造の描出能,画質,線量について320列Volume Scanと64列Helical Scanとで比較検討した.320列群は64列群と比較しDLPにて42.3%、CTDIにて25%減少した(P<.001),定量評価では2群間で膵実質および大動脈増強効果に有意差を認めなかった.腹壁脂肪織の標準偏差にて算出した画像ノイズは早期動脈相の320列群で40%増加したが(P<.001),定性評価では2群ともに許容範囲の画質であった.膵実質,主膵管,脾動脈および末梢分枝の描出の際しては横断像,MPR冠状断像ともに有意差なく,Volume Rendering像での視認性にも有意差は認めなかった,320列を用いたVolume Scan撮像は膵造影CT動脈相および膵実質相に応用可能で,画質や増強効果の有意な低下なく,照射線量の42.3%の低減が可能であると結論した.
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