研究課題/領域番号 |
22591326
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北川 覚也 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50378353)
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研究分担者 |
佐久間 肇 三重大学, 医学部付属病院, 准教授 (60205797)
竹田 寛 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70106988)
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キーワード | CT / 冠動脈 / 心筋血流 / プラーク / 血流予備能 |
研究概要 |
本研究の目的はマルチスライスCTを用いて冠動脈形態と心筋血流および血流予備能を同時に診断する新しい検査法を開発することである。平成22年度に確立した検査プロトコールによる負荷・安静の心臓CT検査を、虚血性心疾患患者60名を対象に行い、負荷時のみの撮影による被曝、造影剤量低減の可能性や負荷時、安静時の心筋パーフュージョンMRIやFractional Flow Reserveとの比較による心筋パーフュージョンCTの診断能について検討を行った。この結果、負荷時のみの撮影でも一定の好条件が整っている場合には十分な診断能が得られることが明らかとなった一方、他モダリティとの比較により虚血診断能については80%程度の正診率であり改善の余地があることも否定できない。すなわち、血管拡張薬負荷中に1相のみ撮影する現在のCT検査方法では、アーチファクトと真の血流異常の鑑別が非常に困難であることが診断能低下の原因であり、これらアーチファクトの原因は不十分な時間分解能(175ms)とハーフ再構成に伴う心筋信号のX線入射角度依存性にあることが判明した。これを受けて、我々は低被曝で時間分解能が高い2管球CTによる総合的心臓検査の実現可能性について予備的検討を進め、以下のような知見をえた。すなわち(1)2管球CTを用いると、撮影範囲を最小限に狭めることで心臓核医学検査以下の被曝線量で薬物負荷中に10相程度の撮影を行うダイナミック負荷心筋血流CTを実施可能であること。(2)75msの高い時間分解能と心筋血流評価に特化した画像再構成によりアーチファクトの少ない安定した画像が得られること、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
320列CTによる検査プロトコールの最適化やその診断能についての検討は十分に行われ、その有用性と問題点が明らかになっており、今後の研究開発の方向性は明確となっている。
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今後の研究の推進方策 |
マルチスライスCTを用いた冠動脈と心筋血流や心筋線維化の評価における320列CTの有用性と限界がみえた一方で、2管球CTが同じ目的を達成するのに非常に高い潜在力を有することが明らかとなった。したがって24年度の研究ではもっぱら2管球CTによるダイナミック負荷心筋血流CTを用いて検討を行うが、ダイナミックデータを利用できることにより、心筋血流絶対値の定量評価(ml/min/g表示)も可能になると予想され、データ解析プログラムを作成できる人材を研究分担者として迎えることとする。
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