平成24年度まで症例を蓄積し、手術後の病理結果をふくめた最終診断に基づく診断精度を算出した。O型装置では、病理学的に証明された170人198個の悪性病変のうち161病変を描出、14病変は描出できず、23病変は乳房専用PET装置の撮像範囲外であった。患者単位の感度は83%、病変単位の感度は81%であり、撮像範囲外となった病変を除外すると、感度はそれぞれ95%、92%と算出された。非浸潤性乳管癌(DCIS)に対する感度は71%(5/7)であった。C型では、159人185個の悪性病変のうち、145病変を描出、18病変は描出されず、22病変は撮像範囲外であった。この母集団における患者単位の感度は81%、病変単位の感度は78%であり、撮像範囲外となった病変を除外すると、感度はそれぞれ92%、89%と算出された。DCISに対する感度は57%(4/7)であった。乳房単位の特異度はO型が97%、C型が96%で、偽陽性は少なかった。 乳房専用PET装置で得られたPET画像から、乳房の輪郭を抽出して吸収係数マップを作成、乳房の吸収係数を水(=0.0958/cm)と仮定してソフトウェア的に吸収補正を行った。吸収補正の有無により2種類の画像が作成され、30病変に対して PET uptake value を計測したところ、おおむね良好な相関が得られた(R=0.96)。ただしクロスキャリブレーションで用いるファントムと乳房の形状が大きく異なる場合に値が異なる可能性が示唆された。 術前化学療法を施行した患者8人の原発巣8病変に対して、全身用PET/CTと乳房専用PET装置を用いて評価した。8病変中5病変で集積の低下が見られたが、1病変はサイズ、集積とも増大、1病変はサイズ不変で集積低下、1病変はサイズ不変で集積増大が見られた。乳房専用PETの結果は全身用と乖離がなく、現時点で優位性は明らかでない。
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