研究課題/領域番号 |
22591339
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長尾 充展 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60533081)
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研究分担者 |
畠中 正光 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40253413)
松尾 芳雄 九州大学, 大学病院, 助教 (50419595)
神谷 武志 九州大学, 大学病院, 医員 (20419534)
本田 浩 九州大学, 医学研究院, 教授 (90145433)
望月 輝一 愛媛大学, 医学研究院, 教授 (80145094)
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キーワード | MRI / 心筋パーフュージョン / タギング / 虚血性心疾患 |
研究概要 |
研究成果:安静時負荷心筋タギングMRIを用いて心臓の内膜・外膜の心筋ストレイン値を測定し、内膜側のストレイン値が重症虚血心筋(冠動脈バイパス予定の多枝病変患者)において、正常心筋よりも有意に低下することを報告した。内膜ストレインを用いた虚血診断能は、心臓カテーテルの結果を基準とした場合正確度75%、負荷心筋シンチグラフィーを基準とした場合正確度85%であった。本法はMRIなので放射線被ばくはない.また薬剤負荷や造影剤を使わない非侵襲的な本法は、安全かつ広く臨床利用可能な虚血検出法と考えられる。この結果は、国際的な医学雑誌に掲載された(Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance 2012 ; 14)。また本研究では、生体人体内で初めて心筋内膜と外膜のストレインを個々に定量化したもので、内膜側が収縮時より1.5~2倍程度変形することも同時に証明した。本法は、虚血心筋以外の心筋症における壁運動異常の検出にも応用可能である。 軽症~中等症の虚血心筋に対しては、アデノシン負荷を用いて負荷時と安静時タギングMRIを撮影し、負荷時に虚血心筋のストレイン値が安静時に比べ有意に低下することやストレインがピークを呈す収縮のタイミングが遅延することを発見した。この結果を第76回日本循環器学会・第22回日本心血管画像動態学会で報告し、日本心血管画像動態学会ではBest Research Award Goldを受賞した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タギングMRIを用いた安全で負担の少ない虚血心筋の画像診断法について、データを解析・結果をまとめ,国際学会誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
今後タギングMRI用いたストレイン値の計測について、さらに自動化を進めるため、ソフトウエアの開発やcross-correlation analysisなど数学的モデルの応用を考えている。また心筋ストレインの心周期における時間曲線は、局所心筋の収縮のタイミングを計測可能であり、虚血心筋における収縮のタイミングの遅れや心臓同期性障害の出現を捉えられる可能性がある。虚血心筋における新たな同期性障害の指標について、検討を加える予定である。
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