研究課題/領域番号 |
22591340
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉浦 敬 九州大学, 医学研究院, 准教授 (40322747)
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研究分担者 |
樋渡 昭雄 九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
山下 孝二 九州大学, 大学病院, 助教 (80546565)
大八木 保政 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30301336)
有村 秀孝 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20287353)
熊澤 誠志 九州大学, 医学研究院, 講師 (50363354)
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キーワード | アルツハイマー病 / 軽度認知障害 / 脳 / MRI |
研究概要 |
1)Voxel-based morphometry (VBM)解析法の基礎検討 VBMは、三次元T1強調画像において、脳灰白質の局所の形態変化(萎縮)を定量的に評価する解析手法であり、Alzheimer病(AD)における海馬などの萎縮の検出やそれに基づく診断に用いられるようになって来た。VBMにおいて、異なる解析手法がADの診断精度にどのように影響するかを検討した。VBMは、modulationを行わない灰白質濃度の解析と、modulationを行うことで得られる灰白質体積の解析の両者を、それぞれ全脳による正規化(global normalization)を加えて行う場合と加えずに行う場合の、計4種類の解析法で行い、診断能を比較した。その結果、灰白質濃度による解析は、灰白質体積による解析に比較して、診断能が高いことが分かった。global normalizationの有無の影響はみとめなかった。 2)軽度認知障害(MCI)における脳形態異常の検出に関する検討 ADの前駆状態とされるMCIにおいて、早期の脳白質形態異常をVBMを用いて検討した。その結果、両側海馬傍回に加え、側頭葉内のlong association fiberに初期の異常が生じることが分かった。 3)高分解能拡散テンソル画像(DTI)による海馬体の皮質内微小構造評価に関する検討 高分解能DTIを用いて、海馬体内の皮質内の微小構造を定量的に評価することが可能か否かを検討した。Small FOVと呼ばれる技術を利用し、1mm以下の面内空間分解能(0.85x0.85x3.0mm)の拡散テンソル画像を撮影することで、皮質内の有髄線維を評価できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルチパラメトリックMRIとして、MRI形態解析(VBM)とASL灌流画像を組み合わせることで、各々単独に比べ、高い精度でAlzheimer病患者を診断できるということを明らかにすることができた。 また、ASLの手法として、従来のpulsed ASLより信号雑音比が高いpseudo-continuous ASL法を撮影する準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)今年度に報告したMRI形態解析(VBM)とASL灌流画像を組み合わせた新しい画像診断法を、より早期のAlzheimer病患者や軽度認知障害(MCI)患者に適応して、その性能を評価する。 2)ASLの手法として、従来のpulsed ASLより信号雑音比が高いpseudo-continuous ASL (PCASL)法を撮影する準備を整えることができたので、PCASLによる評価法についても今後検討を進める。 3)拡散テンソル画像の新たな応用として、高分解能拡散テンソル画像による海馬領域の微小構造の変化を評価する方法について検討している。現在は、健常者を用いて、正常像と解析法につき検討中であるが、今後、患者への適用を進めていく。
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