3次元FLAIR法は脳幹の微細な異常の検出に優れているが、いまだ脳幹の正常構造がどの程度まで描出されるかが検討されていない。そこで、3次元FLAIR法での脳幹正常構造の描出能をこれまで臨床で用いられている2次元FLAIR法やT2強調画像と比較した。 3テスラの臨床MRI装置を用い、10名の正常ボランティアの撮影を行った。比較したMRIシーケンスは、3次元および2次元FLAIR、2次元T2強調画像、および拡散テンソル画像で、対象とした脳幹構造は、白質線維路と神経核である。評価法として、視覚的な4段階評価と定量的なMRI信号のコントラスト比の測定を行った。 視覚的評価において、上小脳脚、中小脳脚、上小脳脚交叉部、皮質脊髄路、中心被蓋路の描出は、3次元FLAIR法において他の撮影法より明らかに優れていた。また、上小脳脚、中小脳脚、上小脳脚交叉部、皮質脊髄路、中心被蓋路のコントラスト比は3次元FLAIR法で有意に高かった。 3次元FLAIR法では、2次元FLAIRやT2強調画像では得られない脳幹正常構造の描出が可能である。
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