研究課題/領域番号 |
22591346
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松本 俊郎 大分大学, 医学部, 准教授 (80219500)
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研究分担者 |
清永 麻紀 大分大学, 医学部, その他(医員) (90464445)
森 宣 大分大学, 医学部, 教授 (20128226)
山田 康成 大分大学, 医学部, 講師 (60244183)
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キーワード | 画像診断学(含放射線診断学) / MDCT / 肝臓癌 / 肺肝癌 / 膵臓癌 |
研究概要 |
平成22年度は、胆管癌(肝門部、肝内)、転移性肝癌、膵体尾部癌を対象に肝内外門脈周囲域への癌進展"periportal cancer spread pattern (PCSP)"に関して多検出器CTを用いて検討した。最初に胆管癌に関しては、浸潤型(10例)と腫瘤形成型(14例)の2タイプに分け、各々のPCSPの頻度、進展範囲を調査した。その結果、胆管癌全体(24例)では、9例(38%)でPCSP陽性であった。内訳は、浸潤型が5例(50%)、腫瘤形成型が4例(29%)であった。肝内門脈周囲域への浸潤に加え、肝外門脈周囲域(肝十二指腸間膜)への進展を伴った症例が5例(21%)に認められた。PSCPを呈した浸潤型胆管癌はいずれも肝門部胆管癌であり、全例で亜区域枝レベルまでの肝内門脈周囲域進展を伴っていた。手術にて病理学的検索が行われたPSCP陽性例では、グリッソン鞘へのリンパ管や神経周囲組織への癌浸潤が確認された。肝門部胆管癌(浸潤型)では高頻度にPSCPを来しやすく、その状態を多検出器CTが門脈周囲域の軟部組織濃度として捉えられることが判明した。 次に、転移性肝癌に対してPCSPの頻度、進展範囲を検討した。造影MDCTが撮像され組織学的証明が得られた30例を対象としたが、PCSP陽性例はわずか3例(10%)にしか見られなかった。PCSP陽性3例を病理学的に検索した結果、1例で門脈周囲域への播種巣は確認されたがグリッソン鞘への直接浸潤はなく、他の2例もグリッソン鞘に癌病巣は認められなかった。 今回、膵頭部癌症例の多くが減黄チューブやステント留置によるアーチファクトの影響を受けており、先に膵体尾部癌症例(57例、多くが非手術例)を対象にPCSPの検討を行った。その結果、13例(23%)に肝門部レベルまでのPCSPが確認された。病理学的対比は行えなかったが、リンパ管や膵外神経叢を介した門脈周囲域への癌浸潤が示唆された。
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