研究課題/領域番号 |
22591350
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
寺崎 一典 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60285632)
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研究分担者 |
小豆島 正典 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00118259)
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キーワード | 放射性薬剤 / PET / 分析化学 |
研究概要 |
PET製剤の品質は、ターゲット物質などの出発原料または製造・精製過程に由来する不純物によって直接影響を受けることが予想される。特に、ポジトロン核種製造におけるターゲット物質の性質は時として決定的に重要なパラメータとなりうる。そのため、得られた製剤の品質を分析するだけではなく、各製造工程においてサンプリングを実施し、含有する不純物の種類、量を把握しつつ高品質な薬剤を得るための最適な製造条件を設定することを目的とする。 [^<18>F]フッ化ナトリウム([^<18>F]NaF)注射剤の製造を2種類の異なる材質のターゲット容器(チタン製、ニオブ製)で実施したところ、ビーム入射窓の構成金属に由来する異核種放射性不純物が検出された。照射ターゲット水からはチタンから生成した^<48>Vが多量に存在していたが、陽イオン交換樹脂による精製を低濃度(0.2%)の炭酸水素ナトリウム溶液で実施したところ、注射剤中の^<48>Vは無視できるレベル(0.03Bq/mL)まで低減できた。 PET薬剤の製剤化の方法として、ロータリーエバボレーターによる濃縮乾固を行わず、最終精製を固相抽出法(SPE)で実施した。(1)低酸素細胞イメージング剤、[^<18>F]FRP-170はロータリーエバポレーターによる溶媒留去の過程で著しく放射化学的純度の低下を招くが、グラファイトカーボン系カラムを用いたSPEによって安定で高品質な注射剤が得られた。(2)同様の製剤化を[^<11>C]PIBの製造に適応し、放射化学的純度、残留溶媒など高品質化が達成できた。固相抽出法による製剤化は省力的、効率的であり、製剤の安定性も十分に確保されていることを確認した。今後はSPEによる製剤化の方法を最適化し、製剤中に含まれる異核種放射性不純物を検索する。また、エタノール含有製剤のPET臨床利用に向けた問題点を基礎的・系統的に明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
震災の影響で施設の機能が損なわれた。復旧後は臨床PETの立ち上げを最優先にしたため、基礎的研究を開始するのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
^<13>N-アンモニアは震災のため合成が困難になったため、^<18>F-NaF、^<11>C-標識薬剤に関して当初の計画通り実施する。加えて、^<18>F-標識薬剤(^<18>F-AV-45)の高比放射能化のため、合成原料、使用器材からフッ素担体の混入源を検索し、これを可能な限り排除しつつ、高度な品質を保持した注射剤の製法を確立する。
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