研究課題/領域番号 |
22591351
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
久慈 一英 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (90283142)
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研究分担者 |
松田 博史 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90173848)
今林 悦子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30406491)
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キーワード | 脳腫瘍 / ^<18>F-フルオロデオキシグルコース / ^<11>C-メチオニン / ^<18>F-フルオロミソニダゾール / 低酸素イメージング / 腫瘍代謝多様性 |
研究概要 |
脳腫瘍患者に加えて、本年度は進行頭頸部癌8例における^<18>F-フルオロデオキシグルコース(FDG)による糖代謝、^<18>F-フルオロミソニダゾール(FMISO)による低酸素状態をPET/CTにて測定し、比較することができた。FMISOについては、7.4MBq/kg投与し、2時間後に撮像した。それぞれの集積度をSUV(standardized uptake value)で定量し、比較検討した。全て扁平上皮癌であったが、FMISO集積度の強い腫瘍ほど、早期の治療反応性が悪い傾向が認められた。頭頸部腫瘍の低酸素状態と治療抵抗性の関係が示されていると考えられ、臨床上重要な知見と考えられる。また、糖代謝との関連性では、腫瘍におけるFDGのSUVとFMISOのSUVが逆相関を示した。頭頸部扁平上皮癌では、糖代謝と低酸素状態が関連していることを示唆している可能性がある。一方で、脳腫瘍では、糖代謝、アミノ酸代謝、低酸素状態は、多様であった。腫瘍の種類によって、代謝パターンが異なることがわかった。神経膠腫において、WHOの臨床分類と最も良く相関したのは、FMISO集積度であった。低酸素状態が治療抵抗性に関連すると考えられる知見である。糖代謝やアミノ酸代謝は、良性腫瘍でも種類によっては、高いことがあることが示された。FMISOによる腫瘍の治療反応性の評価が、種々の悪性腫瘍にて有効な可能性が示唆された。その他の腫瘍でもFMISO集積度と治療反応性の関係を調べることの妥当性が示されたと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖代謝、アミノ酸代謝、低酸素の各PETイメージングを各種癌患者で施行できている。腫瘍の種類によって、代謝パターンの違いが判明してきている。これは、当初の目的に沿っている。代謝パターンの特徴が、治療反応性との関連があることが明らかとなってきていることは重要である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度からは、乳腺腫瘍にて調べ始めている。今後は、これまでに施行してきた脳腫瘍や頭頸部腫瘍のデータを元に、代謝パターンの違いと治療反応性との関連についてまとめ、論文にしていく。アミノ酸や低酸素の脳イメージングについては、統計的画像解析法の可能性について試みる。
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