研究概要 |
MRIを用いて拡散の非正規分布的解析を行うQ Space imaging(QSI)やdiffusion kurtosis imaging(DKI)は、脳白質の微細構造の変化を拡散テンソルなどの従来の方法よりさらに詳細に知ることができる新たなMRIの撮像法である。我々は昨年ヒト用3T MRIを用いて、QSIでは高いb値(15000s/mm^2)までの6軸、DKIでは多軸(20-32軸)のb値2500s/mm^2までとした2種類の撮像・解析法を開発した。東京大学放射線科増谷佳孝に依頼して開発したdTV-FZRでは従来の拡散テンソルとしての解析に加え、QSI,DKIの解析が可能である。 今年度はさらに、QSI,DKIのデータに対しても拡散テンソル解析を行い、主軸方向のKurtosisなどを算出可能とした。 倫理委員会の承諾を得て、今までに15例のNPH患者と7例のボランティアに関してQSI/DKIの撮像を行った。 従来の拡散テンソル解析では、側脳室近傍の皮質脊髄路のFA値は上昇する。通常の組織ではFA値とDKは比較的よい正の相関を示すが、NPHの側脳室近傍の皮質脊髄路においては、DKの低下がみられた。DKは複雑さの示標とされるため、FAの上昇と合わせて白質線維の圧迫や伸展による白質線維のcompactionやalignmentの均一化を反映していると考えられた。 今後はLP shuntを行った患者に関して、術前後の変化を検討する。
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