研究概要 |
特発性正常圧水頭症 NPHにおける白質障害をMRIの拡散テンソル DTI, Q space imaging QSIを用いて検討した。白質路としては主に皮質脊髄路をターゲットとした。そのTract-specific analysis(TSA)を行うと共に、全脳をtract- based spatial statistics(TBSS)およびstatistical parametric map(SPM)にて解析した。平成22年からNPHの拡散テンソル撮像やその解析をはじめる一方、QSIの撮像法につき1年ほど掛けて検討し、プロトコールを確立して、NPH患者の術前および術後の検査を行った。 NPH患者においては白質に広範な変化が起きる一方、通常の変性では見られない異方性の上昇(Fractional Anisotropy:FAの上昇)が皮質脊髄路で起きていることが示された。剖検の得られることの少ないNPH患者の皮質脊髄路に繊維のcompactionと呼ぶことができるような微細構造の変化が起きていることが示唆された。さらに、広義のQSIであるDiffusional Kurtosis imaging(DKI)にて、皮質脊髄路にはDTIで得られた知見を裏付けるnon-Gaussianity(≒複雑さ)の増加が観察された。 上記知見に関しては、日本磁気共鳴医学会、日本医学放射線学会、北米放射線学会などの学会発表をおこなった。また、英文誌 AJNR、MRMSに掲載され、Neuroradiology等に投稿中である。今後はbiomarkerとしての有用性を検証する。
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