研究概要 |
本研究の目的は,臨床用MRIを用いた細胞密度を可視化する分子画像によるがん化学療法の早期治療効果判定である。本年度は3テスラMRIにおいて,細胞密度を可視化する分子画像システムを構築することを主目的とした。 【具体的内容】分子画像システムとして,磁化移動効果を応用した交差緩和率イメージングであるEquivalent cross-relaxation rate (ECR) imagingと肝細胞特異性造影剤(Gd-EOB-DTPA)の造影効果を定量評価し得るcontrast enhance ratio in hepatocellular (CERH) imagingを開発した。ECR imagingにおいて,画像手法は構築できたが,熱吸収比の低減および高速撮像手法が未解決である。CERH imagingは画像手法およびデータ解析法を確立した。CERH値は肝機能を示す血液・生化学データと相関することが明らかになり,ECR imagingを用いた肝容積測定法を開発中である。 【意義】ECR imagingは細胞密度の低下・間質の線維化を検出し,形態的な組織変化が起こる前段階での早期治療効果判定が可能である。また,CERH imagingは肝機能を有する肝細胞を検出し,病変の検出のみならず肝機能画像として有用である。すなわち,本研究はがん化学療法の早期治療効果判定および機能画像の開発としても有用である。 【重要性】本研究は,組織レベルの評価から細胞レベルの評価へ,さらには分子レベルの評価を実現する臨床画像として発展することが期待できる。
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