研究概要 |
骨粗鬆症類似モデルの作成について ・麻酔下に兎の腰椎(L4-7)に対してX線透視ガイド下ラジオ波焼灼術(RFA)は実行可能であったが、全例に神経障害を合併し、術後に下肢神経麻痺が出現した。 ・RFAを行った腰椎の骨強度(MPa)は、コントロール群(9.7±0.9)と比べ、1, 2週間後の骨強度(4.8±1.1, 6.1±0.4)は有意に低下していたが(P<0.001,P<0.001)、4週間後には回復した(11.2±0.4)。 ・また、経時的に撮影したマイクロCTから求めた複数の骨微細構造のパラメーター(骨密度、骨梁厚み、骨梁数、骨梁間距離)は、骨粗鬆症で見られる変化に一致し、骨強度の変化との相関も見られた。 ・病理組織所見では、RFAの熱凝固による骨梁の断裂や骨梁幅の狭細化などの骨粗鬆症類似の骨梁構造破壊を認めた。 骨粗鬆症類似モデルに対するビスフォスフォネート(BP)製剤の投与効果について ・RFAによる骨粗鬆症類似モデルに対するBP製剤は、RFAの1週間前に静脈投与を行う全身投与群とRFA直後に椎体へ局所注入する椎体投与群の2群に分けて、非投与群と比較・検討した。 ・両手技とも実行可能で、副作用は見られず、非投与群と比べて、両投与群ともRFAの1週間後には骨強度が有意に低下していたが(4.8±0.8, 4.8±2.7,P<0.001,P<0.001)、2, 4週間後には回復し(9.5±1.7, 11.8±1.6,P=0.9,P=0.2)、マイクロCTによる骨微細構造のパラメーターは骨強度の変化と相関していた。 [本研究で得られた知見] ・生体兎の腰椎に対する経皮的RFAは実行可能であったが、全例に術後神経障害を合併した。 ・腰椎へのRFA2週間後までは有意に骨強度やマイクロCTによる骨微細構造のパラメーターが骨粗鬆症で見られる変化に一致していたが、4週間後には回復した。 ・BP製剤は全身投与および椎体投与のいずれも非投与群と比べて、力学的および微細骨構造の変化が早期に回復する効果が得られた。 [翌年度へ継続する研究計画] ・BP製剤の従来投与法である全身投与と比べ、椎体内局所注入は実行可能かつ安全であり、得られる効果も同等である事が示され、倫理委員会での審査・許可後に、骨粗鬆症患者に対する臨床試験を予定する。
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