研究課題
平成22年度は、アスペルギローマに対して第1例目のラジオ波治療を行った。症例は79歳女性で、CTにて右肺下葉にアスペルギローマに典型的な像を認めた。β-Dグルカンは正常範囲内で血清アスペルギルス抗原やアスペルギルス抗体、喀痰培養はすべて陰性であった。そのため、まずはCT透視下に肺生検を行い、アスペルギローマであることを組織学的に確認した。アスペルギローマに伴うと思われる症状はなかったが、画像上進行性であったため、治療適応と思われた。手術は困難な症例で、抗真菌剤の内服も拒否されたため、ラジオ波治療を行うことにした。ラジオ波治療はCT透視下に2cmの非絶縁部長を持つCool-tip針を用い行った。患者をうつ伏せにし、CT透視画像を観察しながら、病変へ針を進めた。病変に針を刺入する際、菌塊が柔らかく可動性であるため、やや困難を伴ったが、無事刺入可能であった。針をラジオ波発生装置に接続し、電圧20Wで焼灼を開始した。1分間に5Wずつ電圧を上昇させ、最高電圧73Wで12分間の焼灼を行った。焼灼後の針先端の温度は79℃であった。真菌は熱に弱く数分間の60℃の加熱で死滅するとされており、治療効果が期待できるものと思われた。なお、治療に伴う合併症はみられなかった。治療5日後のCTにて病変は焼灼域に囲まれており、良好な結果と思われた。その後定期的に経過観察を行っているが、病変は確実に縮小してきている。また、治療後3ヶ月後に治療の効果判定のため肺生検を再度行い、挫滅していると思われる菌糸が確認された。3ヶ月後の検査にてβ-Dグルカンは正常範囲内、血清アスペルギルス抗原やアスペルギルス抗体、喀痰培養は全て陰性であった。治療に伴う症状の出現はみられていない。今後もプロトコルに則り定期的に経過観察を行う予定である。
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