研究課題
まず寒天を用いて温度変化、凍結体積の拡大の様子をCT画像から経時的に評価した。凍結端子周囲の低濃度域体積がほぼ時間に比例して拡大していくことを確認した。次ぎに豚肝、腎、軟部組織の凍結治療中の周囲の温度変化を計測した。この結果から、温度分布をPCにて等温度曲線を作成し、各温度の凍結端子からの距離を算出したところ、-20℃、-40℃、-60℃などの一定温度点が凍結(氷)表面と一定の比率(a)の位置に存在することが判明した。腫瘍の大きさの1/a倍の大きさの氷を作成すれば、腫瘍表面を含め全体が目標温度となることが推察された。これまで凍結治療のmarginは5-10mm程度とあいまいであったが、具体的なmarginの値が計算できることが示された。つまり、凍結時間は、凍結範囲の拡大の様子を超音波断層、CTなどの画像で観察し、腫瘍の大きさとの比率で決定することができることがわかった。凍結治療の終了を決定するための重要な知見であり、世界の基準となっていく発見である。また、肝、腎、軟部組織においては第一凍結、第二凍結の温度曲線は肺とは異なり変化がないことも確認した。肺とは異なり、3回の凍結サイクルを加える必要がない、つまり2回の凍結サイクルが必要十分であることが示された。同時に行った副腎の凍結治療の予備実験の際に、凍結に続く解凍時に高血圧、頻脈(hypertensive crisis)が発生することがわかった。血清カテコラミン値を計測し、カテコラミン放出によるhypertensive crisisであると結論できた。これらはα-ブロッカー、β-ブロッカーによりコントロール可能であることも確認された。
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Cryobiology
巻: 61 ページ: 317-326