大動脈弁狭窄症(AS)において、大動脈弁および弁周囲組織の評価を非侵襲的にマルチスライスCT(MSCT)および心エコー図検査(UCG)を用いて比較検討した。2010年4.月から2013年3月までの期間内、冠動脈精査された連続400例のMSCT検査中ASは11例で、そのうちMSCTにて50%以上の冠動脈狭窄病変を有したのは8例、3例には冠動脈狭窄を認めなかった。MSCTにおいて大動脈弁性状は全例石灰化が重度、弁尖の数はMSCTでは11例とも判定可能であったが、UCGでは7例のみ判定可能であった。大動脈弁弁口面積(AVA)は、MSCTは平均0.77 cm^2であったのに対し、 UCGでは平均0.65cm^2とUCGによるAVAが有意に小さかった(p<0.05)。MSCT、 UCGではそれぞれ大動脈弁輪径は平均23.9mmと22.1mmとMSCTよりもUCGの方が小さかったが有意差は認めなかった(p=0.45)。左室駆出率に関しては、 MSCTおよびUCGともに45%前後でありほぼ同等の値であった。以上の結果より、MSCTはASの評価方法として大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術に役立っことが示唆された。
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