研究課題/領域番号 |
22591378
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研究機関 | 防衛医科大学校 |
研究代表者 |
中井 完治 防衛医科大学校, 病院, 講師 (20420838)
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研究分担者 |
石原 美弥 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 教授 (30505342)
川内 聡子 防衛医科大学校, 防衛医学研究センター, 助教 (20506505)
加地 辰美 防衛医科大学校, 病院, 教授 (50148110)
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キーワード | 不安定プラーク / 自家蛍光スペクトル分析 / 拡散反射光計測 |
研究概要 |
1.目的 本研究は、申請者らが開発した動物モデルを用いて、不安定プラークの脆弱性を多角的光工学的手法により分析し、頸動脈狭窄症に対する治療戦略決定における重要な情報を与え、脳塞栓症の合併症を未然に予防することが目的である。本年度も、ウサギモデルを作成して胸腹部大動脈を摘出し、血管内腔のプラークに対し光計測(「自家蛍光スペクトル分析」、「拡散反射光計測」)を行った。特に本年度では臨床応用を目指した画像化への可能性について検討した。 2.方法 高コレステロール含有餌食投与によってウサギ動脈硬化モデルを作製し、胸腹部大動脈を摘出した。展開した動脈の内膜面に対し以下の方法でプラーク性状について計測した。(1)自家蛍光計測:405nmの励起光を照射し、450-800nmまでの範囲においてマルチスペクトル蛍光イメージングを取得した。(2)拡散反射光計測:ハロゲンランプ光源により照射し、組織を伝播した光を分光測定(計測波長範囲は900-1700nm)した。以上計測結果より正常部位とプラーク部位のそれぞれの特徴を検討し、両者を鑑別できるように数値化し、画像化を行った。 3.結果 蛍光スペクトルにおいて、505nmは正常部位、615nmは動脈硬化部位に特徴的な蛍光ピークであることがわかり、両者の比を算出し、再画像化した。一方、拡散反射光計測結果から、脂質の吸収を示す1200nm付近の変曲点を中心に微係数を算出し、脂質含量を数値化し画像化した。以上いずれの方法においても、プラーク部位と正常部位とを明瞭にイメージングすることができた。臨床応用への可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでプラーク標本に対する測定スペクトル分析のみであったが、本年度ではプラーク標本のプラーク性状を画像化することができた。これは臨床応用には欠かせない手法であり、その可能性を示したことは有意義な前進であった。なお、研究成果がまとまった時点が遅かったため、本年度の研究発表は来年度前半に持ち越しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はプラークの画像化についてさらに研究を進めていく。本年度は自家蛍光分析では505nm及び615nmの2波長比で画像化を行ったが、ピクセル毎の測定結果をより詳細に検討し、様々なパラメータを設定して画像化を試みる。さらに標本の組織学的検討を行い、測定結果との整合性について検証する予定である。
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