研究課題
グルタミン酸代謝調節型受容体サブタイプ1(mGluR1)が脳虚血、疼痛、てんかん等の種々の疾患への関与の可能性が示唆されている。しかしながらその生理機能が疾患との関連は必ずしも明確でない。本研究はmGluR1研究に有用なPET薬剤を開発し、臨床初の応用研究を目指す。現在まで申請者は、mGluR1に特異かつ選択的なアンタゴニストである[18F]FITMを開発し、評価した。その結果、[18F]FITMは脳内において高いmGlu1への特異結合を示すことが明らかとなった。今年度は申請者が[18F]FITMをリード化合物として、数種な誘導体を設計し評価を行った。これらの化合物の中、新規化合物ITMMはmGlu1に対し強い親和性と選択性を示した。この化合物に対し、C-11で標識した後、種々の動物を用いPET薬剤としての評価を行った。[11C]ITMMはデスメチル前駆体を[11C]CH3Iと反応させることにより合成した。ラット脳切片を用いたin vitroオートラジオグラフィー(ARG)において、[11C]ITMMはmGluR1の高発現領域である小脳、視床、海馬で高い放射能集積を呈した。また、その集積はmGluR1に選択的な拮抗剤であるJNJ16259685の前投与によってmGluR1への特異性と選択性が証明された。その結果、[11C]ITMMが世界初のヒトに使用できるPET薬剤であることを見いだした。以上の基礎評価を経て、申請者はまず[11C]ITMMの安全性試験などの前臨床評価を行い、臨床に提供できる品質を担保した[11C]ITMMを製造した。次に[11C]ITMMは他のPET施設に導出し、正常ヒトに対する臨床試験を行った。この研究を通じ、申請者が開発したmGluR1のPET薬剤を用い、mGluR1がヒト脳内における分布と密度を世界で初めて測定することができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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