1.多発肺転移モデルマウスを用いての硼素中性子捕捉療法による腫瘍縮小効果の検討 2つの手法を用いて、多発肺転移腫瘍モデルマウスの作成を試みた。一つは、腫瘍細胞の尾静脈からの全身投与で実施し、もう1つは、高転移性が確認されているマウス悪性黒色腫細胞をマウス下腿に移植し腫瘍を形成させ、2-3週間後に肺転移が形成される方法で実施した。しかし、多発肺転移形成率が低く、治療照射実験に用いることができなかった。そのため、多発肺転移腫瘍もモデルマウスの作成は断念し、マウス肺実質に直接腫瘍細胞を移植する方法に変更した。この手法においては、単発肺腫瘍モデルとなるが、その形成率は高く、平成24年度の照射実験に使用する予定である。 2.臨床症例における硼素中性子捕捉療法による正常肺実質の影響の解析 この解析は、平成24年度に実施する予定であるが、正常肺組織に対する放射線治療に対する影響は、照射後数週間以内の急性期ではなく、数ヶ月後の晩期に発生する。そのため、本年度中に解析可能な症例の集積が必要であった。平成23年度に正常は胃組織が広く照射野に含まれる臨床症例を5例集積した。その内訳は、悪性胸膜中皮腫3例、肺癌胸壁再発1例、肺癌胸膜播種1例である。この5症例の治療後の経時的変化を平成24年度に解析する予定である。
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