研究課題/領域番号 |
22591387
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
塩山 善之 九州大学, 医学研究院, 教授 (10323304)
|
研究分担者 |
有村 秀孝 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20287353)
中村 和正 九州大学, 大学病院, 准教授 (20284507)
阿部 光一郎 九州大学, 大学病院, 講師 (00380387)
吉武 忠正 九州大学, 医学研究院, 助教 (40452750)
畠中 正光 九州大学, 大学病院, 准教授 (40253413)
|
キーワード | 肺癌 / 高精度放射線治療 / 機能画像 / 治療最適化 / 低リスク治療 |
研究概要 |
「目的」:肺癌に対する高精度放射線治療(定位照射や強度変調放射線治療)において、機能画像を用いることによる臓器機能温存上の意義を明らかにし、更なる低侵襲放射線治療法の確立のため、「機能形態治療計画CT画像」とそれを用いた新たな3次元線量分布最適化法を開発することである。本年度は局所進行肺癌に対する機能画像を用いたビームアングルの最適化を含めた強度変調放射線治療の有用性について検討した。「対象と方法」:過去に局所進行肺癌に対して3次元原体照射行い、かつ、治療前に肺血流SPECT検査を行っていた10症例(IIIA期3例、IIIB期3例、術後再発例4例)を対象とした。各症例に対して解剖学的画像(治療計画CT)のみを用いて照射方向を決定(Beam angle optimization : BAO)し最適化したプラン(Anatomical coplanar BAO IMRT plan)、治療計画CT-肺血流SPECT融合画像を用いて照射方向を決定(BAO)し最適化したプラン(Functional coplanar BAO IMRT plan)の2つのプランを3次元治療計画コンピュータにて作成し、肺に対する線量容積ヒストグラム(DVH)、線量機能容積ヒストグラム(DFH)、腫瘍に対するDVHを比較した。全てのプランにおいて線量処方は63Gy/35回(D95処方)とし、その他マージン等の条件は同一とした。また、今回は照射方向の決定にはコプラナー15方向より6方向を選択した.「結果」Anatomical coplanar BAOとFunctional coplanar BAOでは0-2方向(中央値1方向)の異なったビーム方向が選択された。Functional coplanar BAO IMRT planは平均線量(中央値)で60cGy、V5Gy,V10Gy,V20Gyで0.9%、1.9%、2.1%の低減が可能であり、機能肺(50%以上機能領域)肺の平均線量(中央値)で180cGy、V5Gy,V10Gy,V20Gyで2.7%、4.5%、4.3%の低減が更に可能であった。「結論と考察」肺癌に対する強度変調放射線治療において解剖・機能融合画像を用いた照射方向最適化法は肺毒性や機能低下のリスクを最小限に抑える上で有用と思われるが、更に照射方向の自由度を増やせば、より効果的に最適化できる可能性があり更なる検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は肺癌に対する高精度放射線治療において、機能画像を用いることによる臓器機能温存上の意義を明らかにし、更なる低侵襲放射線治療法の確立のため新たな3次元線量分布最適化法を開発することである。既に、体幹部定位照射、強度変調放射線治療を用いた解析を行い、本法の有用性評価において一定の成果が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで得られた研究結果およびそれらから得られた課題・問題点をもとに、更に有用な治療計画の最適化法を提案・開発する予定である。本研究の対象となる肺癌症例には、腫瘍の局在やステージ等症例によるバリエーションを考慮する必要性もあり、より多くの症例を対象として解析を進めていく。
|