研究課題
放射線抵抗性の低酸素領域に集積する^<18>F-ミソニダゾール(F-MISO)を用いた臨床研究を実施した。試験参加について患者本人から文書で同意を得た上で、F-MISOを体重1kg当たり約3.7MBq静脈内投与し、3時間後にPET/CT撮影した。この検査を、照射開始前および照射開始2週目(20Gy/10回前後)の原則2回行った。本プロトコールは、ヘルシンキ宣言が言明する諸原則に厳密に従って作成されており、2009年9月に当院の施設倫理委員会で承認を受けている。根治照射あるいは術前照射を行った頭頸部癌、肺癌、食道癌、子宮体癌、肛門癌の合計8例を対象とした。7例では同時化学療法を併用した。腫瘍長径は14~68mmであった。全例治療前にFDG-PETを撮影した。正常筋肉におけるF-MISO SUVmaxの平均値±SDは、1.26±0.17であった。これをもとに1.60SUV(平均+2SD)以上のF-MISO腫瘍内集積を有意な低酸素領域とした。さらに、腫瘍内F-MISO SUVmaxを筋肉のSUVmaxで割った値(T/M比)も低酸素状態の指標とした。その結果、8例中2例では初回検査の腫瘍内F-MISO SUVmaxが1.6SUV以下で低酸素領域を認めなかった。また2回撮影の行えた6例中5例では、腫瘍内F-MISO SUVmaxあるいはT/M比が低下した。照射を42Gyで中止した1例と、2回目のF-MISO SUVmaxが2.5以上あった3例を除く4例では腫瘍の完全消失が得られた。以上より、F-MISO-PETで腫瘍内低酸素領域の画像化が可能である。分割照射によってF-MISO SUVmaxあるいはT/M比は低下し、再酸素化現象を示唆するものと考えられた。また、治療前あるいは分割照射中のF-MISO SUVmaxの値は、照射効果を予測できる可能性がある。
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