研究課題/領域番号 |
22591392
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
西村 恭昌 近畿大学, 医学部, 教授 (00218207)
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研究分担者 |
中松 清志 近畿大学, 医学部, 講師 (80351633)
立花 和泉 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (00510984)
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キーワード | 放射線療法 / 低酸素領域 / 18F-ミソニダゾール / 再酸素化現象 / 分割照射 / 強度変調放射線治療 |
研究概要 |
放射線抵抗性の低酸素領域に集積する18F-ミソニダゾール(F-MISO)を用いた臨床研究を実施した。試験参加について患者本人から文書で同意を得た上で、F-MISOを体重1kg当たり約3.7MBq静脈内投与し、3時間後にPET/CT撮影した。この検査を、照射開始前および照射開始2週目(20Gy/10回前後)の原則2回行った。本プロトコールは、ヘルシンキ宣言が言明する諸原則に厳密に従って作成されており、2009年9月に当院の施設倫理委員会で承認を受けている。 根治照射あるいは術前照射を行った頭頸部癌、肺癌、食道癌、子宮体癌、肛門癌の合計10例を対象とした。9例では同時化学療法を併用した。腫瘍長径は16~68mmであった。全例治療前にFDG-PETを撮影した。正常筋肉におけるF-MISOS UVmaxの平均値±SDは、1.26±0.17であった。これをもとに1.60SUV(平均+2SD)以上のF-MISO腫瘍内集積を有意な低酸素領域とした。さらに、腫瘍内F-MISO SUVmaxを筋肉のSUVmaxで割った値(T/M比)も低酸素状態の指標とした。その結果、10例中1例では初回検査の腫瘍内F-MISOSUVmaxが1.6SUV未満で低酸素領域を認めなかった。また2回撮影の行えた8例中6例では、腫瘍内F-MISO SUVmaxあるいはT/M比が低下した。以上より、F-MISO-PETで腫瘍内低酸素領域の画像化が可能で、多くの未治療ヒト腫瘍に低酸素領域が認められた。また、8腫瘍中6腫瘍において20Gy/10回程度の分割照射によってF-MISO-SUVmaxあるいはT/M比は低下し、再酸素化現象が確認された。腫瘍内低酸素領域に対して高線量を照射する標的内同時ブースト強度変調放射線治療の治療計画も行い、低酸素領域を標的とする放射線治療の可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従った臨床研究が実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に研究は進展しており、現在論文化を進めているところである。 今後、低酸素領域の画像化による治療効果予測、さらには低酸素領域を標的とする高精度放射線治療の臨床研究が必要である。
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