研究課題/領域番号 |
22591398
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
重松 邦広 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20215966)
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研究分担者 |
宮田 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70190791)
小山 博之 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10241994)
岡本 宏之 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60348266)
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キーワード | 血管外科学 / 人工血管 |
研究概要 |
23年度までに、動物実験としてビーグルのオス成犬(体重8-12kg)を使用し腹部大動脈に市販のポリエステル人工血管と絹フィブロインを使用した人工血管の試作品3種類を移植した。人工血管の径はすべて6mmで、絹にポリウレタンを混ぜて被覆したもの以外はいずれも良好な器質化と長期開存を得た。これによって絹は非常に組織親和性がよく炎症反応を起こしにくいことがわかった。しかし6mm径では市販のポリエステル人工血管でも良好な結果を得ており、絹素材の優越性を示すにはよりハードルの高い実験モデルが必要である。そこで我々は3mm径の人工血管用にイヌの総頸動脈置換モデルを確立した。これまでの予備実験では、市販の人工血管素材の一つであるePTFE製の3mm人工血管は早期に閉塞することがわかっており、絹製の3mm人工血管が3ヶ月程度の開存が得られたことを考えると3mm径の比較実験では良好な結果が得られることが期待される。 これらの結果をふまえ24年度は、3mm径ポリエステル人工血管とこれを絹フィブロインで被覆した人工血管を作製し、総頸動脈置換モデルにおいて開存率を中心に比較実験を行う。またこれらの人工血管を移植後6カ月をめどに摘出し、中枢、末梢吻合部および人工血管中央部の標本を作製し、被覆材の吸収、炎症反応、器質化などを検討する。また内皮細胞や平滑筋細胞の有無を免疫染色で確認する。 また現在、連携研究者である農工大の朝倉哲郎教授の研究室では、すでに3mm径の絹人工血管を数種類製作しており、これについても適宜動物移植実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究によりポリエステルの人工血管基盤、絹フィブロインの被覆方法が絞られてきており、本年度は条件をそろえた比較実験が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
イヌの総頸動脈置換モデルにおいて、3mm径ポリエステル人工血管とこれを絹フィブロインで被覆した人工血管を作製し、開存率を中心に最終的な比較実験を行う。そして開存率、器質化の両面から絹フィブロインの被覆材としての有用性を証明する。
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