研究課題
ABO不適合移植の移植前検査は、レシピエント血清中の赤血球凝集反応による抗体価測定のみが予後を予測する情報であるが、加えてドナー側の血管内皮細胞における抗原量を移植前にあらかじめ予測できたら重要な因子になると思われる。レシピエント、ドナー検体を用いて抗体関連型拒絶反応(AMR)を予測しうる移植前検査の開発を目指した。初めにレシピエントの抗A,抗B抗体価のIgG subclass解析を行った。AMRを起こした群と、non-AMR群でIgG subclassに違いがあるか確認した。抗A抗体価は、total IgG,IgM subclass IgG1,IgG2,IgG3,IgG4いずれも、AMR群、non-AMR群で優位差はなかったが、AMR群がnon-AMR群に比して低値群が少なく中程度以上であった。次にグラフトのABO発現を予測するマーカーとしてドナー血小板、赤血球のABO抗原の発現を調べた。血小板は赤血球に比べて個人差が高く、中央値より30倍高い高発現の患者検体が存在した。血小板で高発現、低発現であった患者検体の血管内皮細胞での発現を比較したところ、血管内皮細胞では、高発現のものが多く、発現に個人差は見られず、血小板とのABO抗原の発現に相関性も見られなかった。ドナー側の血管内皮細胞におけるABO抗原量が高発現の場合、レシピエント側の移植前の抗体量の他に、移植後に起こる免疫応答の評価が重要になると思われた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Xenotransplantation
巻: 19 ページ: 82-91
DOI:10.1111/j.1399-3089.2012.00696.x
Transplantation
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10.1097/TP.0b013e3182424df3.