研究課題/領域番号 |
22591409
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
猪股 裕紀洋 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (50193628)
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研究分担者 |
阿曽沼 克弘 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40202626)
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キーワード | 生体肝移植 / HLA / 液性免疫 |
研究概要 |
当初予定実験計画の如く、術前保存血清(症例数103)と術後血清(症例数66)のLABScreen single antigen検査を行い、抗HLA抗体、Donor Specific Antibody(以下DSA)の有無を昨年度に引き続いて測定した。 class I、class IIともに、術前の抗HLA抗体の有無によってのグラフトサバイバル、患者生存率との統計学的相違はみられなかった。術前DSAの有無についても同様に抗体の有無とグラフトサバイバル、患者生存率との統計学的相違はみられなかった。 術後血清における抗HLA抗体陽性者はclass I 4/66(6.1%)、class II 10/66(15%)であり、DSA陽性者はclass I 0/66(0%)、class II 6/66(9.1%)であった。これら各抗体陽性と術後経過の検討は次年度に詳細に行う予定であるが、少数のサンプリングでは、明らかな傾向はみられていない。 移植前の抗体測定に関しては現時点ではその測定意義は低く、脱感作療法などの導入は不要であろうと考えているが、移植後のDSA陽性となった患者は全てclass II抗体であり、他の臓器移植、特に腎移植の慢性拒絶にみられる抗体関連型拒絶と似たような特徴を示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
抗体陽性患者が予想より少なく、これによって、臨床経過のHLA抗体の有無による層別化群分けが、より多くの症例の蓄積が無いと困難であるため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる24年度には、当施設で新規に生体肝移植術を施行する患者の抗HLA抗体の測定も行い、症例数を増やすとともに、術後DSA陽性となった患者においてその要因、肝機能、病理所見などを、症例数の増加とともに詳細に追跡して検討を行い、肝移植における術後DSA産生の臨床的意義とその基礎的機構について明らかにする予定である。
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