本研究は、マウスを用いた肝癌同所性移植モデルで、4次元生体内顕微鏡検査法を用いて、宿主生存状態の肝癌組織における微小血管システムや腫瘍細胞、白血球との関係をreal timeに映像化、分析することにより、それに基づく微小循環での肝癌組織における癌の増殖、浸潤、転移の病態解明を行い、最終的に肝癌治療につなげることを目的としている。 平成24年度においては、前年に引き続きマウス肝癌移植モデルの2光子レーザー顕微鏡による観察を行った。マウス肝癌細胞株(Hepa1-6)をGFP遺伝子組み換えマウスの肝臓に直接移植し、肝癌移植モデルを作成後、肝癌移植マウスに対して2光子レーザー顕微鏡を用いてin vivo、real timeでの観察を行った。 (1)腫瘍内の血管数は正常肝の血管数に比べ有意に増加していた。(2)腫瘍内へ流入する血管内の白血球は、ランダムに遊走していた。(3)腫瘍内と腫瘍外での白血球の遊走速度に関しては有意差は認めなかった。(4)Hepa1-6を用いた癌移植モデルでは、腫瘍の増殖が不良であった。
|