研究課題/領域番号 |
22591412
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
伊勢 一哉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90363746)
|
研究分担者 |
山下 方俊 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20381387)
齋藤 敬弘 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00566812)
清水 裕史 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70553709)
|
キーワード | I型糖尿病 / 膵島移植 / 膵島再生 / 細胞シート / ティッシュエンジニアリング |
研究概要 |
【目的】我々は、膵島移植研究において、既に、ティッシュエンジニアリングの手法を取り入れた膵島細胞シートを発明している(Biomaterials.30:5943-9,2009)。In vitroにおいてはインスリン分泌機能を持つ事を明らかにしており、in vivoにおいても移植まで手技的にも可能である。今後、膵島細胞シートの積層化と血管内皮細胞との接着を促し、膵島機能の増大を図る事を目的とした。 【方法】Lewisラットの分離膵島をトリプシン処理にて単離し、Laminin-5薄層コートした温度応答性培養皿にて接着培養を行った。培養2日目に培養温度を20℃に変化させることにより、膵島細胞をシートとして回収した。実験1:I型糖尿病モデルSCIDマウスの皮下への移植し、機能的および組織学的評価を行った。実験2:前年度の実験で、皮下移植後60日目の移植部位に新生血管内皮細胞が誘導されていた所見が得られた:事から移植直後、移植100日以降など、経時的変化に関して検討する。実験3:移植前に、移植部である皮下に血管を誘導させてからシートを移植し組織学的および機能的変化を検討する。 【結果】膵島細胞シートの皮下移植により糖尿病マウスの血糖値は正常化した。また、ブドウ糖負荷試験において、正常マウスと同等の血糖値の経時的変化を示した。組織学的解析において、皮下に機能的膵島組織が形成されていることを確認した。移植後300日以上、血糖の正常化が得られた。移植の前に、皮下に血管を誘導したが、移植後の組織学的検査所見では、高度な炎症細胞浸潤を認めた。 【考察】膵島細胞から成る単層細胞シートの作製技術を開発し、皮下移植により血糖の正常化を得ることに成功した。皮下への組織作製は、低侵襲で行い得る事から、さらなる組織の高機能化と移植法の開発を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにおいてインスリン分泌機能を持つ事を明らかにした事に引き続き、in vivoにおいて、長期間(300日以上)血糖の正常化に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞シート作製の効率化を目指すために、他細胞との混合培養実験を行う。また、異種及び同種移植の実験と、大動物膵島細胞シートの作製を行い、臨床応用の可能性を探る。
|