研究課題/領域番号 |
22591413
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
石谷 昭子 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40112544)
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研究分担者 |
王寺 典子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30398432)
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キーワード | HLA-G / 腎移植 / 造血幹細胞移植 / 肝移植 / 免疫寛容 / 生着 |
研究概要 |
移植分野において多く報告されてきた、移植片の生着とHLA-Gの発現が相関するというデータの真偽を検証することを目的として本研究を行ってきた。基本的には胎盤にしか発現していないHLA-Gが血中や移植臓器片に発現しているという結果を確認するために、感度および特異性の高いHLA-Gの測定方法の確立が必要であるため、HLA-G検出用モノクロナル抗体を、従来一般的に用いられてきた87GおよびMEMG/9のみならず、G233抗体を加えた3種の抗体を用いた。G233は我々がこれまでに87GおよびMEMG/9の100倍の感度を持っていることをELISA試験により確認している。 これまでに収集された移植患者の血液試料は、1患者につき、術前術後と追跡して採取し、腎移植23名、136試料、肝移植22名、88試料、造血幹細移植23名、137試料である。これらの血中免疫細胞上のHLA-Gの発現をフローサイトメトリーにより検索した。HLA-G陽性細胞は1%前後のごくわずかの細胞に発現している場合も陽性とすると、MEMG/9抗体による検出では全試料の約15%が陽性、87Gでは24%、G233では49%であった。しかし僅か1%の細胞に陽性細胞がみられたことが実際にどのような意味があるのかは、現時点では不明である。特に、G233による検索では多くに試料が陽性を示したことは、これが真実HLA-Gを検出しているのか,非特異的反応であるのかを精査する必要がある。現在、免疫沈降およびウエスタンブロットにより検討中である。 一方、これらのHLA-G陽性試料と臨床データとの間には現時点ではいかなる関連性も見いだされていない。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
1,試料収集が予定より遅れているため。 2,可用性HLAのG測定法の改良が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1,試料収集をさらに続行。 2,各抗体の特異性を再検討する。 3,可用性HLA-G測定法の改良を完了し,保存してある血漿試料464検体につき可用性HLA-Gの測定を行う。 4,各HLA-G発現のデータと臨床データを詳細に解析し、そこに何らかの関連があるかを検討する。
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