研究概要 |
多種類の固形癌において増殖促進因子として機能しているc-mycを標的抗原とした血清抗体検出方法を確立して、固形癌患者における陽性率を検討することを目的とした。精製したc-mycペプチドを標的としたELISAキットを作成し、健常者群の平均値+3SDをカットオフ値として血清抗体陽性率を解析した。健常者対照群における陽性率は2.5%(2/73)であった。比較的早期の固形癌における陽性率を検討する目的で、stage Iあるいはstage IIの各種固形癌をそれぞれ100症例について解析した。各種固形癌におけるc-myc抗体陽性率は、前立腺癌=8%, 肺癌=9%, 胃癌=14%, 大腸癌=6%, 乳癌=13%, 食道癌=12%, 肝細胞癌=10%であった。臨床病理学的因子ならびにp53抗体との相関関係は認められなかった。今後複数の抗体マーカーを併用する診断方法の開発に取り組みたい。
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