研究課題/領域番号 |
22591420
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
甘利 正和 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50400312)
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研究分担者 |
河合 賢朗 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80513530)
石田 孝宣 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00292318)
大内 憲明 東北大学, 病院, 教授 (20292344)
安田 浩康 東北大学, 未来医工学治療開発センター, 准教授 (90396482)
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キーワード | 一酸化窒素 / 乳がん / 化学療法 / 上乗せ効 |
研究概要 |
乳癌における標準化学療法に対する抗がん薬増強剤としてのnitroglycerin(一酸化窒素(NO)供与剤)の上乗せ効果の解明を目的として、乳癌におけるnitroglycerinによる低酸素誘導性抗がん薬耐性機序の改善の検討、Docetaxelに対する抗がん薬増強剤としてのnitroglycerinの腫瘍縮小効果と安全性の検討、同じtaxane系薬剤のPaclitaxelや経口5-FU剤のCapecitabineなど乳癌標準化学療法における抗がん薬増強剤としてのnitroglycerinの効果と安全性の検討を行うことを目指している。 昨年度は、あらゆる病期(StageI~IV)の乳癌で、東北大学病院で術前針生検、術後永久標本、再発後の針生検や摘出生検が得られており、その他の臨床病理学的因子(腫瘍径、リンパ節転移、ホルモン感受性、HER2発現など)が判明している症例を対象として、HIF-1α、P-glycoprotein、VEGF、Ki67、p53の免疫染色発現と臨床病理学的因子との関連性を検討し、nitroglycerinの上乗せ効果、薬剤感受性、予後との相関をみることを予定した。 成果としては、治療歴および予後の判明している乳癌患者約50例の切除標本でのHIF-1α、VEGF、p53、P-glycoproteinの発現を確認するための免疫染色を終了した。現在、それらの免疫染色の結果を病理医と評価中である。途中段階では、HIF-1αの過剰発現と生命予後、P-glycoprotein発現とTaxane系薬剤の治療抵抗性との関連がある傾向が認められた。 Nitroglycerin投与症例でも同様の検討を行い、HIF-1α、VEGF、P-glycoproteinの発現が抑制されることが免疫組織学的に証明されれば、nitroglycerinは、乳癌腫瘍細胞内のHIF-1αの抑制、腫瘍組織内低酸素状態の改善などにより、腫瘍の悪性度を低くすることが証明できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫染色の手技の安定に時間がかかったが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
HIF-1α、P-glycoprotein、VEGF、Ki67などが乳がんにおいて、予後因子と,なりうる傾向が認められており、今後予定通り、nitroglycerinによる化学療法への上乗せ効果を検討する。
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