研究課題
基盤研究(C)
アロマターゼはアンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素であり、乳癌の増殖に関わる重要な酵素である。一方、グルココルチコイド受容体(GR)とretinoicacidreceptor-relatedorphanreceptor(ROR)αは核内ホルモン受容体であり、乳癌での発現が確認されている。我々は乳癌組織におけるRORαの発現解析を行い、RORαがアロマターゼ遺伝子の新規制御因子であることを同定した。それはアロマターゼプロモーターI.4上にRORα応答領域を見出したことによる。このプロモーターの約200bp上流にはGR応答領域が存在し、骨や脂肪組織においてGRがアロマターゼ制御因子である。乳癌組織を用いたRORα、GRおよびアロマターゼのmRNA発現解析結果によると、RORαおよびGRにはアロマターゼ発現との間に正の相関関係を確認できた。RORαはエストロゲン受容体陽性乳癌またはHER2陰性乳癌で発現が高く、核異型度の高い乳癌で発現が低いことを示した。また、正常乳腺と乳癌を比較したところ、正常乳腺の発現量が有意に高いという結果を得た。つまり、乳腺組織が癌化するに伴いRORαの発現は低下し、さらに癌が低分化になるにしたがい発現が低下している。RORαの働きに関しては未解明な点が多いが、筋肉や大脳、小脳、さらにはリンパ球など全身の多くの臓器・細胞に発現しており、それぞれの臓器の正常な発達や恒常性を保つ方向に働いていると考えられる。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件)
乳癌におけるRORα発現およびGR発現によるアロマターゼ遺伝子抑制日本臨床
巻: 70 ページ: 213-217
Breast Cancer
巻: 19 ページ: 309-14
Cancer Sci
巻: 103 ページ: 382-389
Breast Cancer Res Treat
巻: 133 ページ: 685-92
巻: 102 ページ: 656-662
巻: 18 ページ: 73
Experimental Therapeutic Med
巻: 2 ページ: 1069-1072
Anticancer Res
巻: 31 ページ: 3041-3046