研究概要 |
本年度は,NOTES+SIESモデルの確立に取り組んだ. 【NOTES頚部実験モデルの作成】ブタの頸部皮膚を含めた甲状腺および気管を固定し内視鏡手術用スコープおよび内視鏡鉗子を挿入,まず初めに通常の内視鏡手術器具による手技の確立した.このとき口腔底の創は一つのみとし,先端が屈曲可能なroticulator鉗子を用いた. 【術野確保のための方策の比較検討】皮下の術野で鉗子を操作し剥離や切除,縫合を可能にするためには術野をドーム状に保つことは不可避である.その方策として以下の3法を設定しその有用性の検討を行った.さらに必要ならば頚部皮膚挙上器を作成する.(1)送気による陽圧挙上.内視鏡ポートからCO2を送気し頚部皮膚を挙上する.(2)体外からの皮膚挙上.硬線による牽引.(3)体外からの皮膚挙上.磁石による牽引. 【術野確保のための方策の安全性および有用性の比較検討】上記実験で確立した方法の安全性および有用性を比較検討した. その結果,NOTES頚部実験モデルの作成に成功.術野確保のための方策として専用の鈎を開発し有用性を証明した.ブタを用いた実験では甲状腺片葉切除が安全に行えることを証明.病理学的にも安至であること明らかにした.Natural orifice transluminal endoscopic surgery (NOTES)は体表面に切開創を極くことなく,口腔,肛門,膣,尿道より内視鏡等を挿入し行う内視鏡手術である.一方,Single incision endoscopics surgery (SIES)は一つの創のみから光学視管,2本の内視鏡鉗子を挿入し内視鏡手術を行う.現時点の研究の成果として,目的の一つであるNOTES,SIESの概念を融合した新しい頚部手術を開発が可能であることを示すことができ意義があるものである.
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