研究概要 |
【具体的内容】 15症例の転移性乳癌症例で、FES-PET検査施行しFES-SUV値と内分泌治療効果の関係を検討してきた。その結果FES集積による内分泌治療効果の適中率が低下している要因が明らかになってきた。 (1) FES集積を認めた転移部位において、内分泌治療が無効(偽陽性)の原因 (A)エストロゲン受容体が発現していても、エストロゲン非依存性増殖する乳癌があり、その特徴は、Her2陽性乳癌、プロゲステロン受容体発現が消失した乳癌であること。 (B) アロマターゼ阻害剤を投与しても、血液中や組織のエストラジオール濃度が低下せず、薬理効果を認めない乳癌が存在すること。 (1) FES集積を認めない転移部位で、内分泌治療効果が有効(偽陰性)の原因腫瘍径が小さい転移巣、または、骨転移などの腫瘍細胞の割合が少ない転移巣で、偽陰性を認めること。 【意義と重要性】 偽陽性例や偽陰性例を出さないようにするため、以下の点を変更し今後の研究を進めることにした。 (1) 偽陽性症例を出さないために (A) Her2陽性乳癌症例とプロゲステロン受容体の発現消失例,2次内分泌治療例を、対象から除外する。 (B) アロマターゼ阻害剤の投与前後に、血液中のエストラジオール濃度をタンデム法で測定し、エストラジオール濃度が低下しない場合には、アロマターゼ阻害剤を変更する。 (1) 偽陰性症例を出さないために 治療対象の腫瘍径を1cm以上とした。また、骨転移病変では骨梁が含まれるために、腫瘍細胞の密度が低く、FES集積が低下するのでFES-SUVのcut off値を通常の2.0から1.5へ下げて補正することとした。 上記を変更して本研究を推進することは、内分泌治療効果予測の適中率を向上させる意義があり、実臨床へ応用するために重要と考える。
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