研究課題
われわれは、肝細胞癌におけるEGFによるヒト正常肝細胞の悪性形質転換はc-junを介しており、EGCG(Epigallocatechin Gallate)により抑制されうることを、in vitroで明らかにしてきた。本研究では、その機序をin vivoで証明することが目的の一つである。1. 今年度、肝細胞癌動物モデルを作成するにあたり、まずEGF導入マウスを用いたが、肝細胞癌は安定して発現しなかった。替わりに、A/Jマウスにcarbontetrachloride(CCL4、四塩化炭素)を週3回経口投与したところ、15週後には100%のマウスにおいて肝細胞癌を発生させることに成功した。2. 発現した肝細胞癌を遺伝子学的に検討したところ、ヒトで示されているほどEGFは高発現しておらず、しかしEGFRの別のリガンドであるamphiregulinが著明に高発現していた。これは、新たな知見であり、今後の新たな研究テーマとなり得ると思われた。この実験系による肝細胞癌のc-jun、AP-1の発現程度については、現在検討中である。3. 次に、EGCGによる発癌抑制効果を示す必要がある。EGCGの投与量、投与経路(経口or経腹膜)を現在試行している段階である。