研究課題
前年度、EGF遺伝子導入マウスに発生する肝癌における遺伝子発現を検討したところ、c-junの発現が増加しAP-1の活性が上昇していることが示された。これは、以前の我々のin vitroの結果と合致していた。また、さらにin vitroの結果と同様に、同マウスにEGCGを経腹膜投与したところ、肝細胞癌の発生が有意に抑制された。EGCG非投与群では肝細胞癌発生率が85%であったのに対し、EGCG投与群では20%であった。当該年度では、このEGCG投与マウスに発生した肝癌組織における遺伝子発現を検討した。c-jun発現をWestern blot法において検討したところ、EGCG投与群では非投与群と比較して、明らかな低発現であった。また、AP-1発現をELISA法による転写因子―DNA結合アッセイで検討したところ、同様にEGCG投与群において、AP-1は有意に低発現であった。これは、in vivoにおけるEGCGの効果が、in vitroと同様であることを示しており、非常に有用な知見であった。また、ヒト肝癌切除症例において、c-junの発現を比較検討した。当教室での手術例83例を低発現群,高発現群の二群に分けて検討した。その結果、低発現群と比べて高発現群では無再発生存率が有意に低いことが示された。また臨床因子との検討では、腫瘍径,血清AFP値は、c-jun高発現群において有意に大きいことが明らかとなった。以上の結果から、EGF依存の肝癌発生には、c-jun→AP-1の発現が関与していることを示した。また、その経路をEGCGが抑制することを明らかにすることができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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