研究課題/領域番号 |
22591432
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和佐 勝史 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10240467)
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研究分担者 |
福澤 正洋 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60165272)
曹 英樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00457011)
上原 秀一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00448060)
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キーワード | 抗がん剤 / 腸管上皮細胞 / アミノ酸トランスポート / グルタミン |
研究概要 |
1)抗がん剤投与が腸管上皮細胞アミノ酸トランスポート活性に与える影響 腸管上皮細胞(Caco-2細胞)を細胞培養し、培養液に抗がん剤(シスプラチン)を加え、抗がん剤投与がアミノ酸細胞膜トランスポート活性に与える影響を検討した。グルタミン(System ASC)およびロイシン(System L)トランスポート活性はシスプラチン投与により有意に上昇した。同時に、これらのアミノ酸トランスポートmRNAおよび蛋白の発現に上昇を認めた。グルタミン酸(System X-AG)トランスポート活性には変化を認めなかった。以上より、抗がん剤(シスプラチン)投与が腸管上皮細胞アミノ酸トランスポートに与える影響が遺伝子レベルで明らかとなった。 2)抗がん剤に伴う腸管障害モデルにおけるグルタミンの投与効果およびそのメカニズムの検討 Wistar雄ラットを以下の3群に分類した。Control:生理食塩水(以下生食)腹腔内注入(i.p.)+生食胃内注入、グルタミン非投与群:cyclophosphamide(以下CPM)300mg/kg(i.p)+生食胃内注入、グルタミン投与群:CPM 300mg/kg(i.p.)+グルタミン1g/kg胃内注入。3日目に空腸と回腸を採取し、粘膜湿重量、組織学的検査、粘膜蛋白量、粘膜glutathione (GSH)量を測定し、Apoptosisを評価した。空腸、回腸ともに、粘膜湿重量、Villus height、Crypt depth、粘膜蛋白量および粘膜GSH量のすべてのパラメータにおいて、グルタミン投与群が非投与群に比し優位に高値を示した。Apoptosisの発現は、グルタミン投与群が非投与群に比し有意に抑制された。その結果、CPM投与に伴う腸管粘膜障害に対してグルタミンの投与効果が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実施計画は、1)抗癌剤投与が腸管上皮細胞アミノ酸トランスポート活性に与える影響、2)抗癌剤投与に伴う腸管障害に対するグルタミンの投与効果、の2課題を明らかにすることであったが、これらの目標は平成23年度にほぼ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究で、抗がん剤に伴う腸管障害におけるグルタミンの投与効果が明らかとなった。今後は、その投与効果のメカニズムをより詳細に検討する予定である。
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