研究課題
本邦の非小細胞肺癌の約3分の2は進行期癌で,治療成績は未だ不良である.そのため,進行期肺癌に対する新治療戦略の開発が急務である.これまでの研究から,様々な抗腫瘍剤標的分子の腫瘍内過剰発現が,その抗腫瘍剤の耐性に関与することが報告されている.その中で最新の我々の研究から,抗腫瘍剤標的分子が遺伝子治療のターゲットとなり,抗腫瘍剤標的分子発現抑制ベクターにより抗腫瘍剤の感受性を獲得しうることが判明してきた.そこで我々は薬剤耐性の進行期癌の治療として,抗腫瘍剤関連分子の発現抑制ベクターと抗腫瘍剤の併用療法による化学・遺伝子治療の研究を行う.我々は臨床応用可能なshRNA発現ベクターを,導入効率の高いアデノウィルスベクターで作製し,癌細胞株でのRNA interference (RNAi)実験後,実験動物(担癌ヌードマウス)で標的分子抑制ベクターと抗腫瘍剤の併用療法による化学・遺伝子治療の研究を行う.22年度には、抗腫瘍剤標的分子に合成siRNAによる遺伝子治療実験を実施し,siRNAのノックダウン効率を評価した.これにより得られた最適なsiRNA配列とループ配列を含むshRNA配列をプラスミドベクターに組み込み、shRNA発現プラスミドベクターの作成を完了した.23年度には,22年度の研究に基づきCOS-TPC法でshRNA発現アデノウィルスベクターを作製した.24年度にはさらに,抗腫瘍剤標的分子(RRM1,TUBB4)の高発現癌細胞株に対して,作製したshRNA発現アデノウィルスベクターのノックダウン効率の評価し。,実験動物(担癌ヌードマウス)で標的分子抑制ベクターと抗がん剤の併用実験を行い遺伝子治療の可能性を確認した。また,国内外の学会発表に通じて抗腫瘍剤標的分子をターゲットとした発現抑制ベクターによる癌遺伝子治療が,進行期癌における新治療戦略となりうることを積極に発信した.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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10.1016/j.ejca.2011.05.003