本研究は、乳癌の発生・進展におけるカテプシンEの役割を解析し、1.血清カテプシンEの乳癌の早期発見および予後予測因子としての意義、2.カテプシンEの乳癌の発生・進展への関与、3.カテプシンEの乳癌の予防薬としての可能性 について検討することを目的としている。 これまで、乳癌患者および健常人女性の血清カテプシンEの濃度および活性の測定を行い、血清カテプシンEの活性は乳癌の患者において健常人女性より低いこと、また、乳癌の病期が進行するに従い血清カテプシンEの活性が低下することを見出した。さらに、浸潤性乳癌の患者において、血清カテプシンEの濃度が高いほど予後が良好であることを見出した。以上より、血清カテプシンEの活性は乳癌の早期発見のマーカーおよび乳癌の予後因子としての役割があることが推察された。 今回、カテプシンEノックアウトマウスを用いた基礎的検討を行い、カテプシンEノックアウトマウスは乳腺特異的に腫瘍を形成すること、カテプシンEは乳腺においてWnt5aの産生、分泌を誘導することを見出した。
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