研究概要 |
乳癌手術検体において乳癌幹細胞(BCSC)マーカーALDH1を用い腫瘍内のBCSCの局在を免疫染色で検討、腫瘍辺縁での発現の増強を認めた。さらに同部位での浸潤細胞におけるがん幹細胞性とEMTを介した浸潤能の関連を観察するためEMTマーカー(E-cadherin,Vimentin、β-catenin,Snail、Twist)による免疫染色を実施、腫瘍辺縁での発現増強、および一部BSCSマーカーとの2重陽性も認められた。さらに500例の乳癌症例の中から30%が、ly(リンパ管浸潤)陽性でリンパ節転移陰性、36%がly陰性でもリンパ節転移陽性で有ることを見い出し、単純にlyの発現がリンパ節転移陽性となる物理的減少では無いことを想定、がん幹細胞性の獲得やEMT因子の発現が重要な意義を持つと過程、そこで乳癌の転移の初期段階、あるいはEMT発現型の典型としてD2-40抗体によるリンパ管染色を行い、ly(リンパ管浸潤)細胞でのALDH1およびEMTマーカーの発現を検討した。その結果ly症例においてはより顕著にALDH1陽性BCSCとEMTマーカー陽性細胞が特に腫瘍辺縁に発現していることが解り、さらにリンパ管内の腫瘍細胞に何れかの因子が発現しておりことを同定、乳癌細胞の転移の初期段階にがん幹細胞性の強化、EMTによる癌細胞のMigration,Invasion能の亢進の1つの機序である可能性をを見い出した。この結果は現在英論文として投稿、校正中である。
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