研究課題
大腸癌に対する分子標的薬であるcetuximab療法の効果は約40%-50%の症例に期待される。cetuximab療法では、副作用も存在することから、より効果が得られる症例を選別することが重要と考えられる。本研究では、遺伝子発現解析により臨床的応用の可能なcetuximab療法の効果予測式を作成することを目的とした。外科的切除後再発を認め、再発巣の外科切除が不能な症例、および大腸癌の診断時に切除不能な転移巣を有する症例を対象とした。先ず、再発症例あるいは切除不能大腸癌症例のうち、cetuximab療法が施行された症例の手術時に採取された大腸癌組織あるいは内視鏡検査時に採取された大腸癌生検標本を用い、GeneChip解析を行った。CT画像診断所見などの臨床的データによりcetuximab療法の効果の認められた症例(効果有り群)と、認められなかった症例(効果無し群)に分類した。次に、効果有り群と効果無し群の間で有意に発現の異なる遺伝子群を同定した。これらの遺伝子発現によりcetuximab療法の効果予測を行った。予測式の精度をあげるため、症例数を増やして検証を行っている。しかし、新たな症例数を追加することにより、cetuximab療法の効果有り群と効果無し群の間で有意に発現の異なる遺伝子群が変化し、この遺伝子群の変化により予測精度も変化している。現在、予測精度がより高くなるように、そして予測に用いる遺伝子セットができる限り安定するように症例数を増やして検討を継続している。
2: おおむね順調に進展している
cetuximab療法を行った症例の内、効果を判定し、効果の差により発現量の異なる遺伝子セットを抽出することができた。この遺伝子セットを用いてcetuximab療法の効果の予測式を作成することができている。
cetuximab療法の効果の予測式ができているが、臨床的に応用するためには、予測式の予測精度を今後上げていく必要がある。そのためには、症例の増やして、さらに検討を続ける必要がある。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Clinical Colorectal Cancer
巻: 10 ページ: 134-141
Diseases of the Colon and Rectum
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European Journal of Cancer
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10.1016/j.ejca.2011.03.029