研究概要 |
遺伝子発現解析により大腸癌に対する分子標的薬であるcetuximab療法の効果予測式を作成することを目的とした。切除不能再発大腸癌を対象として、大腸癌標本を用い、GeneChip 解析を行った。cetuximab 療法の効果の認められた症例(効果有り群)と認められなかった症例(効果無し群)に分類し、両群間で有意に発現の異なる遺伝子群により効果予測を行った。症例をトレーニングセットを30例とテストセット16例に分けてトレーニングセットで効果有り群と効果無し群で有為に発現の異なった61probe遺伝子により予測式を作成した。61probeのうち効果無し群で発現が低下してたのは33probeで、これらの中にはTACSTD2、TNFRSF11B、EFNA5、DPEP1などが含まれていた。一方、効果無し群で発現が上昇していたのは28probeで、CXCL2、IL 13RA2、GAS1、AK4, CXCL5、HLA-DQA1などが含まれていた。61probeを用いた効果予測では、sensitivity, specificity, positive predictive value (PPV), negative predictive value (NPV)は、それぞれ91.7%、94.4%、91.7%、94.4%であった。またaccuracyは93.3%であった。この予測式を用いてテストセットで効果予測を行った結果、sensitivity, specificity, PPV, NPVは、それぞれ60.6%、81.8%、60.6%、81.8%であった。またaccuracyは75.0%であった。さらに、マイクロアレイとreal-time RT-PCRで同じ発現傾向を示すprobe群を選別して予測を行ったが、マイクロアレイによりテストセットで予測を行った予測精度超える精度は得られなかった。
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