研究課題
この研究の目的は、磁気位置センサーユニットから得られる3次元位置情報をもとに、異なった画像情報を融合・相互補完できる画像診断システムであるReal-time Virtual Sonography(RVS)を乳癌画像診断に応用開発することである。RVSを用いることでリアルタイムな超音波画像とそれに一致した任意の断面のMRI-MPR画像を同一モニターで比較することが可能となる。平成22年度は実臨床におけるRVS装置の精度における解析およびRVSによる乳腺MRI偶発造影病変の超音波による同定を試みた。本研究はレトロスペクティブな観察研究であり当院倫理委員会の承認を得ている。精度の解析においては乳癌もしくはマンモグラフィや超音波検査で乳房に異常を認め乳腺MRIを施行した症例を対象とした。超音波ならびにMRIで病変の確認ができた約50例を対象とし、超音波像とMRI-MPRにより作成されたバーチャル像との腫瘍径の相関ならびに3次元方向における位置ずれについて計測を行った。同一病変における最大腫瘍径の差の平均は約2mmであり、相関係数は0.8と有意に相関していた。また3次元の位置ずれは約10mmであった。偶発造影病変の同定においては、乳腺MRIを施行した約150例を対象とした。偶発造影病変を25%に認め、これらに対し再度超音波を行い病変の同定を試みたが、通常の超音波では32%の同定にとどまったがRVSを用いることで88%を同定することが可能であった。以上よりRVSは偶発造影病変の超音波による同定において優れた精度を有する検査法であると考えられた。現在、症例の蓄積ならびに新たに導入した画像解析装置による症例データの保存・解析を行っている。またSPECT-CTやPET-CTなどの機能画像と超音波の同期ができる新たなRVSの機器開発に取り組んでいる。
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映像情報メディカル
巻: 43巻 ページ: 348-355