研究概要 |
シスプラチンを投与すると消化管に異常収縮が生じ、同時に嘔吐を誘発し、血中のセロトニン上昇が原因と考えられた。5HT3受容体拮抗薬によって有意に異常収縮は抑制されたが、六君子湯の上乗せ効果は確認できなかった。 六君子湯は空腹期に胃内に投与すると、十二指腸以下を中心に律動的な収縮を惹起し(図1)、その収縮能は用量依存性に増大し、2.7gで最大になった。六君子湯を1.3, 2.7, 4.0gと胃内に投与すると用量依存性に胃排出が亢進し、投与後90分で最高値を観察した。六君子湯による消化管収縮はatropine、hexamethoniumによって有意に抑制され、5HT3 receptor antagonistであるondansetronでは抑制されなかった。六君子湯によるグレリン分泌刺激は六君子湯4.0gの投与で、投与後150分の血中濃度が有意に上昇した。 六君子湯による消化管運動刺激のメカニズムは腸管内腔から吸収された六君子湯が腸管神経叢のコリン作動性神経、節前神経を刺激し節後神経を介して平滑筋を収縮させると考えられる。
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