研究概要 |
骨髄由来fibrocyteは癌微小環境下ではmyofibrocyteに形質転換し、造腫瘍性に働くことを証明した。 すなわち、健常ボランティアから採取した末梢血からFicoll法にて単球を分離し、フラスコ接着細胞を培養したのち、抗体ビーズ法にて純度90%以上のfibrocyteを回収した。このfibrocyteと胃癌細胞株MKN45を供培養することで、fibrocyteはαSMA強発現するmyofibroblast様に形質転換した。 さらに、これをヌードマウス背部皮下へ移植すると、胃癌細胞株単独移植に比較し、腫瘍サイズは有意に大きかった。また、皮下腫瘍を病理組織学的に検討すると、単独移植した腫瘍では髄様癌であったが、混合移植した腫瘍では腫瘍内に間質の増生を認め、Azan染色にて線維化が誘導されたことが証明された。また、間質内の細胞成分は混合移植したヒト由来fibrocyteと宿主(ヌードマウス)由来細胞から構成されていることが蛍光免疫染色にて証明しえた。 平成22年度から現在まで得られたデータの検証実験をおこなった後に、英語論文の投稿作業をおこない、2報の論文化 (Tsukada T, Fushida S et al. The role of human mesothelial cells in the fibrosis and progression of gastric cancer. Int J Oncol, 2012 & Tsukada T, Fushida S et al. Low-dose paclitaxel modulates tumour fibrosis in gastric cancer. Int J Oncol, 2013)に成功した。
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