研究課題/領域番号 |
22591456
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
榎 忠彦 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80311819)
|
研究分担者 |
上田 和弘 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90420520)
|
キーワード | 手術侵襲 / 血管内皮前駆細胞 |
研究概要 |
本年度は、手術侵襲による癌増大において血管内皮前駆細胞(Endothelial progenitor cell: EPC)が関与しているか否かについて明らかにすることを目的とし、動物モデルを用いた検証を行った。 昨年、GFP骨髄キメラマウスの背部に皮下腫瘍モデルを作製し、術後12日目に腫瘍を摘出した。組織学的に骨髄由来細胞であるGFP陽性細胞およびGFP/CD34陽性細胞をカウントしたところ、胃切開術で手術侵襲を加えた群(手術侵襲群)は対照群と比較して多くのGFP陽性細胞およびGFP/CD34陽性細胞(EPC)が集積していた(P<0.05)。また、腫瘍内微少血管密度(CD34陽性細胞)、腫瘍増殖(PCNA陽性細胞)、アポトーシス(TUNEL法)を評価したところ、手術侵襲群では対照群と比較して、腫瘍内微少血管密度の増加、腫瘍増殖の亢進、アポトーシスの抑制を認めた(P<0.05)。 EPCの集積を阻害するために、CXCR4拮抗薬であるAMD3100を手術侵襲群に手術後連日投与した(AMD群)。術後12日目の腫瘍体積に関して、AMD群は手術侵襲群と比較して縮小していた。腫瘍を摘出し、組織学的に評価したところ、GFP/CD34陽性細胞(EPC)の集積を阻害し、腫瘍内血管密度の減少、腫瘍増殖の抑制、アポトーシスの増加を認めた(P<0.05)。以上の結果から、手術侵襲による癌の増大にEPCは血管新生を介して重要な役割を果たしていることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度で動物実験は終了した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は手術侵襲による骨髄由来幹細胞の動員について、臨床症例での検討を進めていく予定
|