研究課題
基盤研究(C)
【方法】(1)1998-2007年に当科において切除術が施行されたcStageII-III食道扁平上皮癌168例を術前無治療群92例、術前CRT群76例の2群に分類し、臨床病理学的因子を比較した。(2)2003-2008年に当科と九州がんセンターにおいて術前CRT後に切除術が施行された食道扁平上皮癌41例の治療前生検標本を用いてRad51発現を免疫染色により評価し組織学的治療効果との関係を検討した。なお、10%以上の癌細胞の核に発現を認めた症例をRad51陽性と判定した。【結果】(1)術前CRT 群において臨床的深達度が深かった(p<0.05)。術前CRT群の31例(40.8%)に術後合併症を認め、術前無治療群の29例(31.5%)に比し多い傾向を認めた。術前無治療群に3例(3.3%)在院死を認めたが、術前CRT群で術死・在院死を認めなかった。cStageII症例の5年生存率は術前無治療群64.8%(n=40)、術前CRT群71.6%(n=45)、cStageIII症例の5年生存率は術前無治療群22.9%(n=37)、術 前CRT群32.8%(n=35)であり、差を認めなかった。術前CRT群において病理学的治療効果別に検討したところ、5年生存率はGrade0,1(34例)で36.9%、Grade2(24例)で53.8%であったが、Grade3(16例)では全例生存中であった。(2)Rad51発現陽性症例29例中2例(6.9%)にGrade3を認めたが、陰性症例では15例中5例(33.3%)にGrade3を認めた(p<0.05)。【結語】術前CRTによりGrade3が得られた症例の切除後の予後は良好である。また、治療前生検標本におけるRad51発現は有用な術前CRT効果予測因子である。
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Dis Esophagus
Esophagus
巻: 9 ページ: 158-64
Clin Cancer Res
巻: 17 ページ: 1731-40