研究課題
前年度までの腫瘍細胞株を用いた細胞実験,動物実験では,リンパ管新生因子であるVEGF-CないしVEGF-Dの導入・発現がリンパ管の増生,つまりリンパ管新生を促しリンパ節転移を誘導することを証明した。また腫瘍の新生リンパ管にはVEGFR-3の共発現が著しいことも確認された。臨床上,腫瘍サイズが大きいにもかかわらず転移をきたさない症例がみられる一方,高度なリンパ節転移を伴った小さな悪性腫瘍もしばしば経験される。前年度までの結果を裏付ける研究として,これらの症例における腫瘍リンパ管密度を計測すると,小さな腫瘍であってもリンパ節転移を伴う症例では原発巣においてより高い腫瘍リンパ管密度が認められた。これはリンパ節転移においてはVEGFを中心とした血管新生ではなく,VEGF-C,Dが関与するリンパ管新生が非常に重要であることを支持する結果である。本年度はさらに過去に採取された臨床検体を用いて悪性腫瘍の微小環境との関連が示唆される各種蛋白の発現を確認する実験(Western blot,免疫染色)を継続し発展させた。症例数の蓄積とともに細胞接着分子であるE-cadherinの減弱とsnailファミリーに属するSlugの発現がリンパ管侵襲,リンパ節転移と密接に関連すること,BMP7の発現がリンパ管侵襲,リンパ節転移を含めた腫瘍の悪性度と相関すること,またregulatory T cellの腫瘍内浸潤が少ない症例では予後良好であることは再現性をもって示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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