研究概要 |
胃癌組織における免疫抑制性樹状細胞(Trelogenic DC)の誘導について:スキルス胃癌原発巣、および転移リンパ節内にCD11bおよびCD11c陽性DCの浸潤を認めた。胃癌細胞株はTGF-bなどの免疫抑制性サイトカインの産生していた。スキルス胃癌細胞株によってDCのMHC class IIの発現は低下し、programmed death-ligand 2 (PD-L2)の発現、CD11b発現が増強した。このDCは、FITC-Dxの貪食能を低下しなかった。またDCのIL-10産生能はOCUM-8の上清添加により増強した。DCの抗原提示に関連する転写因子であるAire発現量はスキルス胃癌細胞上清添加により減少した。CD11bDCの胃癌組織内浸潤は、胃癌の臨床的進行度と関連していた。すなわち、胃癌細胞によりDCは、immatureであり、免疫抑制性に機能することが示唆された。また、胃癌原発巣、および転移リンパ節において、腫瘍細胞でのFOXP3発現が認められた。この発現はsignet ring cell carcinomaでみられ、他の組織型においては明らかでなかった。signet ring cell carcinomaは約76%において腫瘍細胞でFOXP3の発現が認められた。 免疫抑制性樹状細胞に対するPSK, TLRligand、ジフテリアトキシン融合蛋白による影響について:スキルス胃癌によって、誘導された免疫抑制性DCは、in vitroにおいてPSKおよびR-848の添加によりMHC-IIの発現が回復した。しかしながら、ジフテリアトキシンを添加した場合、1ng/mlの濃度でDCのviabilityが低下したため、phenotypeの検討行っていない。しかしながら、PSKやTLRLigandは、抗腫瘍免疫におけるDC機能の回復に有効である可能性が示唆された。
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