【研究目的】 食道癌治療において放射線治療や化学療法は大きな役割を担っているが、各症例・各薬剤でその効果・有害事象は大きく異なっている。有効な治療薬選択を目的とした抗癌剤感受性試験や、感受性予測因子の同定を目指した網羅的遺伝子発現解析が試みられており、臨床的有用性のコンセンサスが得られつつあるが、現時点では有効な治療選択を提示するには至っていない。また放射線治療に関しては、有力な効果予測因子の報告は極めて少ない。本研究では放射線治療、化学療法が治療の重要な役割を占める食道癌を対象に、化学放射線療法施行時の腫瘍細胞核内におけるDNAの二本鎖切断(Double-strand breaks : DSBs)状況を、ヒストン蛋白の一種であるγH2AXを指標として経時的・定量的に解析し、得られたデータと臨床効果との関連を検証することで、γH2AX発現の治療効果予測因子としての有効性を検討する。 【研究成果】 現在、術前化学放射線療法を施行した後、根治術を施行した約30例の臨床検体を収集中である。組織学的治療効果と予後のデータ化を行っている。
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