研究概要 |
胃癌切除検体におけるEMTの組織学的検討として、倫理委員会で承認を得た手順で、当院における胃癌手術検体の収集を行った。臨床病理学的因子との相関をみるため、データベースの構築を行った。今後、臨床病理学的因子(T,N,M,ly,v,予後など)との相関をみる。特にsmおよびmp程度に浸潤した癌を中心に検討し、EMTの初期の変化を捉える。さらにスキルス胃癌と非スキルス胃癌との比較検討を合わせて行うことで難治癌の治療応用を展望する。胃癌細胞に対するin vitroでのEMT誘導と転移浸潤能の検討するため、教室で保有する胃癌培養株TMK-1、MKN28、MKN45、MKN74について、EMTの状況をスクリーニングした。すなわち、定量的RT-PCRを用いて、N-cadherin,E-cadherin,Vimentin,slug,snail.twistの発現を定量的に評価した。この検討によりTMK-1が比較的epithelialな、またMKN74がmesenchymalな性格をもつことが明らかとなった。この結果を踏まえ、今後この2種の細胞を軸に、invasion assayやwound healing assayなどで転移・浸潤能を評価する。またEMT inducerやその阻害薬によりEMTの調節を行い、その形質がどのように変化するかを調査し、難治性胃癌の治療に応用に向けた研究を推進する。
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